食べてしまいやすいもの

2つの誤飲

異物誤飲は誤飲してしまったものの性質により二つに大別することができます。「薬理的」なリスクのあるものを誤飲してしまった場合と、「物理的」なリスクのあるものを誤飲してしまった場合です。もう少し日常的な表現に言い換えると、中毒を起こす危険のあるものと、胃を傷つけたり、腸で詰まったりする危険のあるものの二種類です。以下にそれぞれ詳しく説明します。

中毒を起こす異物

  • 中毒を起こす異物もさらに二つに大別することができます。一つはそのものズバリの薬剤です。多いのはオーナーが服用している錠剤やカプセル剤ですが、他にも洗剤や塗料、農薬や殺虫剤などを含みます。
    もう一つは人間が普段食べている食品が実は犬や猫にとっては中毒物だったというパターンです。有名な二例としてタマネギとチョコレートが挙げられます。他にもキシリトールガム、レーズン、ニンニク、マカダミアナッツなども実は動物にとって有害であることはあまり知られていません。

  • それ以外にも・・・

    例えばタバコなども好奇心旺盛で何にでも興味津々な仔犬が誤飲してしまうことがよくありますが、ニコチン中毒を引き起こします。また野草類の中でもユリ科の植物は腎不全を引き起こすことが知られています。
    獣医療現場の視点でいうと、医薬品やタバコなどを誤飲してしまった場合、多くのオーナーはすぐに慌てて病院に駆けつけますが、レーズンやユリなどのあまり知られていない中毒物の場合は症状が発症してから来院するケースが多く、手遅れになるパターンは医薬品の場合よりもむしろ多いそうです。代表的な中毒物質は覚えておくようにしましょう。

傷つけ・詰まる異物

  • 物理的な異物も二つに大別することができます。一つは鋭利な形状で胃や腸に傷をつけるタイプの異物で、代表的なものとしては鶏の骨や焼き鳥の竹串、ガラスやプラスチックの破片、爪楊枝や画びょう、釘などです。
    もう一つは危険な形状をしている訳ではないが、その大きさにより食道、胃の出口、腸などで詰まってしまい閉塞を起こす異物です。靴下などの布類、買い物袋やラップなどのビニール類、トイレシートやオムツなども胃の中で吸水膨張して閉塞を引き起こすことがあります。

  • 同じ異物でも・・・

    例えばコイン。10円玉を70kgのセントバーナードが飲み込んだとしても、ほぼ間違いなく腸管を無事通過して便と一緒に排泄されるでしょう。しかし同じものを3kgのチワワが飲み込んだ場合はどうでしょうか? これは胃や腸で詰まってしまう可能性が充分にあり得ますのでなんらかの摘出処置が必要になるでしょう。
    このように同じ異物でも動物の大きさによってそのリスクは大きく変動するということを常に頭に入れておきましょう。

代表的な誤飲しやすいもの

  • 林檎(リンゴ)

    異物カテゴリ:
    傷つけ・詰まる異物
    危険度:
    A

    林檎(リンゴ)の特徴、誤飲時のリスク

    人間が当たり前に食べているものが、実は動物たちにとっては有害という事例は沢山あり、タマネギやチョコレート等は有名ですね。ではリンゴはどうでしょうか? 「えっ!リンゴも中毒を起こすの!?」 いいえ、起こしません。トウモロコ...

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  • トウモロコシ

    異物カテゴリ:
    傷つけ・詰まる異物
    危険度:
    A

    トウモロコシの特徴、誤飲時のリスク

    チョコやタマネギは知っていたけど、トウモロコシも中毒を起こすの!?と思った方。いえいえ、中毒は起こしません。トウモロコシが問題を起こすパターンはほぼ決まっていて、中~大型犬がトウモロコシの芯を丸飲みしてしまい、それが腸で詰まって腸閉塞を起こ...

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  • キシリトール

    異物カテゴリ:
    中毒を起こす異物
    危険度:
    B

    キシリトールの特徴、誤飲時のリスク

    一昔前は地味で目立たない人工甘味料として存在していたキシリトール。その頃は中毒物質として議論されることはありませんでした。しかし歯に良いキシリトールガムの大流行で世間における認知、流通ともに急速に増大。これに伴い犬のキシリトールガム誤食によ...

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  • 人の薬(頭痛薬)

    異物カテゴリ:
    中毒を起こす異物
    危険度:
    B

    人の薬(頭痛薬)の特徴、誤飲時のリスク

    頭痛・生理痛を抑える用途でどこの薬局でも販売されている鎮痛剤。そこに含まれるイブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン等の抗炎症成分は犬・猫に中毒症状を引き起こすことが知られています。その症状は量に応じて段階的に変化していきます。少量で...

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  • たばこ

    異物カテゴリ:
    中毒を起こす異物
    危険度:
    B ただし多量または濃縮液はA

    たばこの特徴、誤飲時のリスク

    タバコに含まれている成分ニコチンがニコチン中毒を引き起こします。ニコチンは教科書的には最初に中枢神経を高ぶらせ、その後逆に抑制する作用を発揮します。そのため中毒症状としては興奮系の症状(震え、頻呼吸、流延、嘔吐など)も抑制系の症状(昏睡、血...

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  • チョコレート

    異物カテゴリ:
    中毒を起こす異物
    危険度:
    B~C

    チョコレートの特徴、誤飲時のリスク

    チョコレートに含まれている成分、主にテオブロミンとカフェインが引き起こす中毒症状をチョコレート中毒と言います。どちらも主に中枢神経を興奮させる作用を発揮するため、主な症状としては以下が挙げられます。 落ち着きが無くなる、震える、呼...

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  • たまねぎ

    異物カテゴリ:
    中毒を起こす異物
    危険度:
    A

    たまねぎの特徴、誤飲時のリスク

    タマネギ中毒という名称はオーナーの皆様の間でかなり知られていますが、これはタマネギだけが限定して引き起こす中毒ではなくネギ科の植物全般が起こし得るもので、具体的には長ネギ、ニンニク、ニラ、エシャロット等も同様の中毒成分を含有しており、同じ症...

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  • 人の薬(向精神薬)

    異物カテゴリ:
    中毒を起こす異物
    危険度:
    大量だとA 少量ならC

    人の薬(向精神薬)の特徴、誤飲時のリスク

    夜間救急病院には人の薬を飲んでしまったという症例が多数来院されます。しかし人の薬といっても無害なものから劇薬まで多種多様です。では、どんな薬の誤飲で来院することが多いかというと、トップクラスで多いのがうつ病の治療薬などに用いられる向精神薬で...

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  • ボタン

    異物カテゴリ:
    傷つけ・詰まる異物
    危険度:
    よほど大きなものでなければC

    ボタンの特徴、誤飲時のリスク

    ボタンを飲み込んでしまったという異物誤飲症例は珍しくありません。飲み込んだ。またはその疑いがある場合はすぐに動物病院でX線検査を受けましょう。ボタンの材質や胃腸の状態によってX線写真に写らない可能性はゼロではありませんが、多くの場合は写りま...

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  • ティッシュ

    異物カテゴリ:
    傷つけ・詰まる異物
    危険度:
    B~C

    ティッシュの特徴、誤飲時のリスク

    ティッシュを食べてしまったんですという誤飲症例は多く、ほとんどが犬です。大量に食べた場合は折り重なったティッシュが胃液を吸収して胃から腸に流れ込む幽門を塞いでしまうこともありますので注意が必要ですが、実際にはそれほど大量に誤飲するケースは少...

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