監修者メッセージ

異物誤飲事故があぶりだす人の思いの不確かさについて

  • 救急医をやっていた頃に何千件という異物誤飲症例に向き合い、何百件も内視鏡で異物の摘出を行ってきました。オーナーに心から感謝された感動のエピソードや、思わずほっこりせずにはいられない面白おかしい逸話、急転直下の悲しい結末まで様々な事態をオーナーの皆様とともに経験させて頂きました。
    その中で最も痛切に感じたことは、獣医療に携わり色々な病気や事故に直面してきましたが、異物誤飲ほど「思い込み」による視野狭窄の恐ろしさを実感させてくれる事例は他に無いということです。

  • 思い込みが無いことのほうが珍しいぐらい!?

    「絶対に飲み込んだから今すぐ摘出してくれ」とオーナーが真剣に切実に訴えるが、実は飲み込んでいませんでしたというケースは山ほど経験しました。こちらはこちらで、「この症状は〇〇中毒に違いない」とか「これは開腹しなくても内視鏡で絶対に摘出できる」とか、今思い返すと「何を根拠にそう決めつけたんだろう?」と疑問しか浮かばない処置を選択した結果、やはり上手くいかなかったというヘマも何度もやらかしました。
    そういった失敗を糧に、今では思い込みを排除して出来るだけデータという根拠をもとに判断するよう心掛ける習慣がついているので、以前のような信じられないミスはもうしなくなりましたが、それでも思い込みに囚われて視野狭窄に陥っていることにふと気づいて「おっと、あぶない」とヒヤッとすることが今でもあります。

  • 思い込みの犠牲になる不幸な動物を減らしたい

    このサイトの監修を引き受けた理由は、そのような思い込みの犠牲になって、実は何も飲み込んでいないのに無理やり吐かされてしまったり、逆にオーナーが楽観視し過ぎた結果手遅れになってしまったり、そんな不幸な動物たちが一頭でも減ってくれればという想いが一つの大きな理由です。
    そしてもう一つの理由は、愛する家族である動物が何かを飲み込んでしまった時に、どう対応することが最善かという情報が集約されているサイトが無いことに気づいたからです。異物誤飲事故が発生し、それに気づいたオーナーが慌てふためきながら各動物病院のブログなどの断片的情報を検索していく手間を省き、最善の情報に最短でアクセスできる窓口があればきっとオーナーの皆様の一助となり得る。そんな想いを胸に今回の監修に関わらせて頂きました。少しでもお役に立てることがあれば幸甚の極みです。

監修者紹介

  • 監修者紹介
    氏名 新井 勇人(港北どうぶつ病院 院長)
    資格・所属 獣医師免許番号 第41079
    横浜市獣医師会所属
    出身校(卒歴) 麻布大学
  • 略歴

    • 平成14年4月〜

      横浜市内動物病院勤務

    • 平成17年1月〜

      横浜夜間動物病院(現・DVMsどうぶつ医療センター横浜)にて救急医療に従事

    • 平成20年3月〜

      横浜夜間動物病院 院長就任

    • 平成25年2月

      開業準備のため退職

  • 学会発表・セミナー講演・専門誌寄稿

    • 平成20年9月

      夜間診療を通して見られる種々の傾向とその考察(麻布獣医学会特別賞受賞)

    • 平成24年6月

      伴侶動物診療施設における心肺脳蘇生の実際(第84回獣医麻酔外科学会)

    • 平成24年3月

      誤飲と夜間動物病院(アニコム主催 第1回家庭どうぶつシンポジウム)

    • 平成23年5月

      夜間診療からみる臨床「腹腔内出血のゴールデン・レトリーバー」(獣医学雑誌J-vet寄稿)

    • 平成23年3月

      夜間診療からみる臨床「心肺蘇生にまつわる境界線を模索する日々」(J-vet寄稿)

    • 平成24年7月

      続・夜間診療からみる臨床「インフォームド・コンセント」(J-vet寄稿)

    • 平成24年9月

      続・夜間診療からみる臨床「報告書の書き方」(J-vet寄稿)

    • 平成24年11月

      続・夜間診療からみる臨床「失敗から学んだこと」(J-vet寄稿)

    • 平成25年5月〜

      シリーズ連載 緊急疾患対応シミュレーション(J-vetコメント寄稿)

  • 病院情報

    病院名 港北どうぶつ病院
    院長 新井勇人
    所在地 〒224-0027 横浜市都筑区大棚町3004-1
    電話番号 045-620-5550
    休診日 金曜日
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