食べてしまいやすいもの

異物カテゴリ:
傷つけ・詰まる異物
危険度:
A

トウモロコシ

トウモロコシの特徴・誤飲時のリスク

チョコやタマネギは知っていたけど、トウモロコシも中毒を起こすの!?と思った方。

いえいえ、中毒は起こしません。

トウモロコシが問題を起こすパターンはほぼ決まっていて、中~大型犬がトウモロコシの芯を丸飲みしてしまい、それが腸で詰まって腸閉塞を起こすパターンです。

コーン大国のアメリカは日本よりはるかに大型犬の飼育頭数が多いこともあり、犬が腸閉塞を起こした際の原因第一位に挙げられています。日本での発生頻度はアメリカほどのトップランクには上がってきませんが、救急医療の現場では比較的多く認められます。

発生時期に偏りがあり、トウモロコシのシーズンである夏の発生頻度が圧倒的に高く、バーベキュー等のアウトドアの現場で誤飲する機会が多いことが知られています。バーベキューの際にお肉の隣で焼かれている3~5㎝ぐらいの厚さで輪切りにされたトウモロコシ。あれを食べ終わってゴミ箱代わりのビニール袋に入れておいたら、いつの間にか盗み食いしていたというパターンが王道です。

また自身はしっかりゴミの管理をしていてもバーベキュー場などに行くと過去にバーベキューをやった際の片付け残しとして芯だけ落ちていることも多いので、自分さえしっかり管理していれば安心とも言い切れません。

バーベキュー好きのオーナーの皆様はワンちゃんと一緒に赴く際は細心の注意を払うようにしましょう。

トウモロコシ誤飲時の主な処置

トウモロコシに関連した症例の代表的な来院パターンが二つあります。

一つは、バーベキュー等の最中に芯ごと丸飲みした瞬間を目撃したため、慌てて病院に連れてきたというパターンです。この場合、その時点で犬に何か症状が出ていることはほとんどありません。「なんで病院???」という顔をして診察台の上で陽気に尻尾を振っています。

症状が無いのなら楽しいバーベキューを中座してまで慌てて病院に駆け込まなくてもいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろこの早い対応は大正解です。対応が早ければ早いほどまだ胃の中に停滞している可能性が高く、胃の中にあれば、吐かせる処置(催吐処置)、または内視鏡での摘出と、最もダメージの大きい最終手段である開腹手術をせずに摘出できる選択肢がまだ二つ残されています。

もう一つのパターンは、頻回の嘔吐。特に食後にそれを全て吐いてしまうことを繰り返しているという訴えで来院。検査をしたら腸の途中に何かが詰まっていることが判明。緊急で開腹手術をした結果、腸から摘出されたのはトウモロコシの芯でした・・・という展開。飼い主様にそれを報告したら「そういえば先週のバーベキュー。あの時かも!」というパターンはとても多いです。

もちろん最初のパターンで、飲み込んですぐに病院に来院されても、芯が大きすぎて吐かせても吐き出せないとか、かかりつけの病院が内視鏡の設備が無いとか、色々な理由で開腹手術になってしまうことはあり得ます。

しかしそれでも腸閉塞になって腸の広範囲に炎症が生じ、頻回嘔吐で脱水症状が進み、衰弱した状態から開腹手術に突入するのと、まだ健康でピンピンに元気なうちに開腹手術をおこなうのでは、麻酔のリスク、術後の合併症のリスク、術後の回復のスピードなどに雲泥の差が生じます。

 

以上の点からトウモロコシに関して留意すべきことは以下の二つです。

・気づかないうちに飲み込んでしまっているパターンも多いので、バーベキュー場などの飲み込む機会が多い場所に連れて行く場合は細心の注意を!

・飲み込んだ瞬間を目撃している場合は、できるだけ早く動物病院を受診したほうが治療の選択肢が増えるし、ダメージの少ない治療で解決できる確率は上がる。

 

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