食べてしまいやすいもの

異物カテゴリ:
傷つけ・詰まる異物
危険度:
S

ヒモ

ヒモの特徴・誤飲時のリスク

細い糸が例え1m以上の長さがあったとしても、丸めたら指先ほどの大きさにもなりません。そのためヒモ状の異物を飲み込んでしまってもあまり危険度が高くない印象を与えるようですが、ヒモ状異物は実は非常に危険です。

なぜ危険なのか?

胃腸の中でどんなことが起こるのか?

ヒモが丸まった糸クズのような状態であれば害は少ないのですが、長いヒモが細長い腸の中をヘビのように通過していく場合、腸はお腹の中で激しく蛇行しているためヒモの一端が腸の途中で粘膜に食い込んでアンカーのように止まってしまうことがあります。しかしそれに気づいて腸が動きを止めてくれることはないので、もう一端側をさらに奥へ奥へと送りこもうと伸び縮みの蠕動(ぜんどう)運動を続けます。送りこもうとするけど一端が固定されて動かないヒモが存在すると、やがて腸は徐々にヒモに沿ってアコーディオン状に寄ってきてしまい、やがてはギュウギュウにうっ血した状態に。同時に糸の食い込みも増して、やがては腸の壁に穴が空いてしまいます。

イメージとしては紙で包装されたストローを取り出す時、包装をストローに沿ってギュッと縮めてストローを取り出す人がいますが、その時の包装のような縮こまった状態に腸がなっている感じです。

激しい嘔吐や発熱、呼吸が荒くグッタリしている等の症状がある場合は既に腸の壁に穴が空いて急性腹膜炎になっている可能性があります。そうなる前に対処してあげないと、例え助かっても非常に激しいダメージが残ってしまう可能性が充分にあり得ます。症状が出たらなんとかしようと考えることは非常に危険であると留意して下さい。

また異物誤飲症例はほとんどの場合、猫よりも犬のほうがはるかに発生頻度が高いですが、ヒモ状異物の場合は猫でも同等に発生します。猫のオーナー様も充分に注意しましょう。

ヒモ誤飲時の主な処置

既に腸にヒモが食い込んでしまっている状態になっている場合は開腹手術をする以外に救命の手段はほぼありません。例え助かっても場合によっては腸の一部を切断しなくてはならない大手術になるので、そうなる前に対応してあげることが大切です。

飲み込んだのが確実で、まだ時間が経っていない場合は内視鏡で簡単に摘出できる可能性が充分にあります。早め早めの対応を心がけましょう。

 

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