食べてしまいやすいもの

異物カテゴリ:
中毒を起こす異物
危険度:
B

キシリトール

キシリトールの特徴・誤飲時のリスク

一昔前は地味で目立たない人工甘味料として存在していたキシリトール。その頃は中毒物質として議論されることはありませんでした。しかし歯に良いキシリトールガムの大流行で世間における認知、流通ともに急速に増大。これに伴い犬のキシリトールガム誤食による中毒症状の報告は急速に増え、現在に至っています。

症状は大きくわけて二つです。

一つは体内でのインスリンの分泌を強く促すため、その結果血糖値が急激に下がり低血糖症をひき起こします。この症状は摂取してから30~60分程度のスピードで急速に起こり、具体的には突然の元気低下、ふらつきなどの運動失調、異常に眠くなる傾眠傾向などから始まり、さらに重度だと低血糖性のけいれん発作が生じることもあります。

もう一つの症状は肝臓に強いダメージを与える肝障害で、こちらは見た目の症状はあまり無くゆっくりと進行し、摂取から三日経って発症することも。初期段階ではほとんど症状が無い場合も多いため、気付いた時には既に重篤な肝不全に陥っているケースもあり、誤飲してすぐに低血糖症状が無かったからと言って安心は出来ません。

低血糖症は適切な治療により症状のコントロールが可能な場合が多いですが、肝障害が発生した場合は予後が悪いと言われています。

キシリトール誤飲時の主な処置

キシリトール中毒に対する特効薬(拮抗薬)は存在しません。一般的な中毒物質の対処と同様、摂取量や摂取してからの時間などから判断して適宜吐かせる処置や点滴治療による排泄促進、吸着剤の投与、場合によっては胃洗浄などを組み合わせて治療します。

既に低血糖症状が生じている場合は症状に併せてブドウ糖を静脈注射や点滴で投与し、下がった血糖値を上げてあげる治療が必要になります。その後も血糖値測定を経時的に続け、血糖値の下げ止まりが確認できるまでは油断できません。

肝障害が遅れて生じる可能性があるため、そうなる前に肝庇護剤などを先行的に投与したり、肝不全の結果起きる血液凝固障害などが発症してしまった場合は緊急的な輸血などが必要になる場合もあります。

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