食べてしまいやすいもの
- 異物カテゴリ:
- 中毒を起こす異物
- 危険度:
- B
人の薬(頭痛薬)
人の薬(頭痛薬)の特徴・誤飲時のリスク
頭痛・生理痛を抑える用途でどこの薬局でも販売されている鎮痛剤。そこに含まれるイブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン等の抗炎症成分は犬・猫に中毒症状を引き起こすことが知られています。
その症状は量に応じて段階的に変化していきます。少量でも胃腸の粘膜にダメージを与え吐き気や下痢を引き起こし、症状が強く出る場合は粘膜に潰瘍を起こし、胃腸の壁に穴が空いてしまえば急性腹膜炎で死に至る危険性もあります。また摂取量がもう少し増えて中等量になると腎臓にダメージを与え急性腎不全を引き起こすリスクも発生。さらに大量摂取だと脳神経へのダメージも現れ、痙攣発作や昏睡に至ることもあります。
上記中毒症状はどれも死に至る可能性があるため、少量なら安心と割り切ることはできません。
また猫はそれらの抗炎症成分を肝臓で分解する能力に乏しく、そのためこの中毒物質への感受性が犬の2倍近く高いとされており、さらなる注意が必要です。
人の薬(頭痛薬)誤飲時の主な処置
誤飲してからまだ時間が経っていないのであれば吐かせる処置(催吐処置)は効果的です。中毒物質が粘膜から吸収される前に少しでも対外に排出させて、吸収される総量を減らすことは、中毒症状を発症させないために出来る最大限の処置のうちの一つです。
また時間が経過していなくても、ある程度経過していても、既に吸収されてしまった中毒物質をできるだけ早く排出させる処置として点滴治療も有効です。
それ以外には胃粘膜障害が起こることを見越して粘膜保護剤や胃酸抑制剤の投与、痙攣が起こればそれを抑える抗痙攣薬の投与など、現れる症状に併せて出来る治療もあります。
前述の中毒症状のうち胃腸の粘膜が潰瘍化して嘔吐や下痢・血便などの症状が起こるのは誤飲してすぐではありません。また腎不全に至る場合も、誤飲してから最長で5日後とも言われています。従って誤飲した直後に何も症状が無いから大丈夫と判断することは非常に危険であり、むしろ何も症状が出ていないうちにどこまでの治療を受けられるかが大事であると留意しましょう。